「私が心臓マッサージをやります」
私がそう告げると、頷いた若者が黙って気道を確保します。人工呼吸をしようとしてるのがわかりました。
こっちは頭が真っ白気味ですが、出来ることがあるならやらないと。ともかく、力をかけすぎないように心臓マッサージ。
ドン!ドン!ドン!といった感じ。力を入れすぎると骨が折れることもあるそうなのですが、いまいち加減がわからない。一秒よりやや早めぐらいの感覚でやるといいよ…子供の頃のお兄さん達の声を思い出します。ともかく、やるしかない。
私のタイミングに合わせて人工呼吸も始まりました。ともかく、息さえしてくれれば…心臓が動いてくれれば…
夢中で続けるマッサージ。
その時、妙な音が聞こえて、周りを見回します。
心臓マッサージをする私の目に入ってきたのは…携帯を構えて写真を撮る、OLや学生さんの姿。
ピロリン…カシャッ…様々な音が聞こえてきます。
…とっさに動けないのも仕方ない。やり方がわからないなら、手伝えないのも仕方ない。私だってとっさに動けていなかった。けれど…それはないだろう、と。何やってるんだよ、と。
動けるのなら、いいからAED探してこい!